挿し木ガイド

樹木や花木の挿し穂の作り方や用土について紹介します。
挿し木は多くの植物を簡単に増やすことができる方法です。
挿し木が難しいといわれている植物でも手順さえ踏めば、簡単にできることがあります。
ここで紹介する方法は、一般家庭で気軽にできる方法を試行したものになり、最も良い方法ではない場合がありますので、あらかじめご了承ください。
1つの方法として参考にしていただければ幸いです。

目次

挿し穂の作り方

枝によって発根しやすい植物と、発根しにくいものがあります。
一般的には、若い枝の方が発根に必要なホルモンや栄養分を多く持つため、発根がしやすい傾向にあります。

挿し木の時期や天候は、春前または秋前がよいと思いますが、植物によって最適な時期が異なりますので、ここでは説明を省きます。

挿し木用の枝を取得したら、早めに挿し穂を作ります。
挿し穂に葉が多く残っていると、葉から水分が放出されてしまうので、最低限にします。
枝の先端から10~20cm程度にし、上葉を2~4枚程度の残して、下葉を取り除きます。
残す葉が大きい場合には半分に切り取ります。

下葉を除くとき、むしり取ると枝が切れる場合もありますので、ハサミを使って切り取ります。

水に浸ける

挿し穂は2~12時間ほど水に浸けます。容器はなるべく清潔なものを使ってください。
水に混ぜ合わせると発根を促進するものとして、下記が考えられます。

①珪酸塩白土
珪酸塩白土は様々な商品名で一般的に販売されています。
水を浄化し、ミネラルを放出します。
土にとっても除菌作用があり、水はけや水持ちをよくするイオン交換効果があるといわれます。

②発根促進剤 (ルートン等)
公式ページでは、どのような植物にとっても発根を促進すると説明されています。
切り口周辺へ付着させることが一般的ですが、水に溶かして使用するケースもあるようです。

③メネデール
100~200倍に希釈した水に浸けると、発根率が上がるように思います。
公式ホームページによると、メネデールが植物の切り口に膜のようなものを作り、切り口を保護して発根を促すと説明されています。

挿し木用土

挿し木用土については、下記が考えられます。
①市販の挿し木用土
②赤玉土(小粒)とピートモスの等量配分土
③赤玉土(小粒)とバーミキュライト 7:3程度の混合土
④赤玉土のみ
⑤園芸用の吸水スポンジ や水ゴケ

挿し穂は植物にとって大きな傷がある状態のため、水はけと水持ちがよい、清潔な土を用意する必要があります。
発根しやすい植物を除いて、絶対に肥料は混ぜないようします。

赤玉土を使用する場合は、土ふるい等を使い、微小な粉は取り除いてください。
普段園芸しない人にとっては多くの土を購入するのは手間になり、大半が余ってしまいますので、デリケートな種子でなければ、赤玉土だけでも良いと思います。
土には、前項で説明した珪酸塩白土を少し混ぜ合わせてもよいと思います。

吸水スポンジや水ゴケを使う方法は、シンプルに挿して発根を待つ方法です。
発根したらスポンジ等から剥がさず、そのまま土の中へ植え付けます。
適した種類は限られており、本記事では説明を省きます。

使い回しの土を使い場合には、土は消毒してください。
黒のポリ袋に入れて日光の元にさらすか、熱湯を土へかけて高温消毒してください。
酸性度が強くなった土には石炭を少々加えるなど、酸性度の調整を行う場合もあります。

挿し木の容器

①挿し木容器、②鉢底石または鉢底ネットを用意します。

植え替えることを前提に挿し木を行います。清潔であり、鉢穴があり、適切に水が排出される容器を選んでください。
容器の高さは浅いものを選ばず、挿し穂の長さの1/2以上の深さがある容器を選びます。

挿し木

挿し木用土はあらかじめ湿らせます。
挿し穂の切り口にダメージを与えないように、棒で穴を空けてから挿し穂を挿します。
長さの1/2~1/3は土に挿します。周りの土を軽く押さえ、挿し穂を落ち着かせます。

挿し穂の切り口周辺には、ルートンなどの発根剤をつけると良いといわれています。
効果があるように思えますが、効果検証は難しいところです。

挿し木後の管理

水やりの時は、強い水やりは避け、ノズル穴が細かいものを使うか、腰水から水を吸水させます。

種まき容器の置き場所は、強い直射日光が当たらず、雨風を受けない多湿環境で管理します。
一部の植物を除き、とても暑い場所は避けてください。水は切らさないようにします。

多湿状態を維持するため、容器の上にサランラップやプラスチックカップをかぶせる方法もあります。
ただし、かぶせるシートには穴を空けて空気が通るようにします。高温多湿になり、呼吸が阻害される場合がありますので注意する必要があります。
植え替えする前には、すぐにシートを外さず、少しずつ外気へ適応させていきます。

挿し木のメリットとデメリット

挿し木は難易度が低く、簡単に植物を増やすことができる方法です。
挿し木は親株と同じような性質を受け継ぎます。
種から育てるのとは異なり、安定した親株から挿し木することで、良い株をたくさん作りだすことができます。

一方で、親株と同じような性質を受け継ぎますので、弱点も受け継ぐことになります。
個性がないので、同じような病気にかかりやすくなります。
また、種から育てると、個性ある苗を育つのに対し、挿し木の場合には個性は少なくなります。

植物によっては、挿し木では丈夫な株が育たない場合があります。
また、寿命が短くなることがあります。接ぎ木をする方法がありますが、園芸に詳しい人でないと、難易度が高くなります。
そのような種類は、園芸店から苗を購入するか、種から育てることが望ましいです。

メリット・デメリットを考慮した上で、植物や用途に応じて、どの方法を選ぶかを選択することが望ましいです。

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