ユーカリは様々な用途で活用されている植物です。
フラワーアレンジメントの素材として人気が高いので、花束を連想する方々が多いと思います。
または、コアラの木を連想する方々もいらっしゃるでしょう。
多くのユーカリからは精油が取れ、葉枝からは爽やかな香りがあります。
アロマオイルの定番の種類の一つでもあります。
抗菌スプレーとして利用されたり、薬用品の材料として利用されることもあります。
ユーカリの精油は古くから、薬用やアロマセラピーでも使われてきました。
ここでは、そのようなユーカリの効用について紹介します。
ユーカリの歴史
ユーカリの多くは、オーストラリアを原産地とします。
オーストラリアの原生林の77%は、ユーカリが生育する森とされています。1
オーストラリアの先住民は、ユーカリの精油がもつ殺菌性や抗炎性に気づきました。
そして傷を癒す用途や感染症の予防に使用しました。
18世紀に入り、ヨーロッパ人の入植が始まります。
入植者はユーカリの精油を存在を発見します。
19世紀にかけて精油が大量に精製されることになりました。
ユーカリには成長が速い種類が多く存在します。
そのため、精油用だけでなく、木材・紙パルプの用途として世界中に植えられるようになりました。
さらに、ユーカリはハチミツ用の花として利用されています。
ユーカリのハチミツは、「ユーカリ・ハニー」としても販売されています。
「ジャラハニー」も、ユーカリの一種の花から採れるハチミツです。
なお、ユーカリの精油は、強力な天然消毒剤ともいわれます。
ユーカリは、多くの生き物にとって食べるのは危険な植物です。
一方、コアラやポッサム、インコ、オウムなどはユーカリを食用とする動物として有名です。
有名なコアラはオーストラリアのみに生息する動物であり、毒を排出する能力を進化させました。
先に述べた通り、オーストラリアの主な木はユーカリであるため、ユーカリを食用とする動物や昆虫も数多く存在します。
また、ユーカリといっても、種類によって成分大小も成分種類も様々です。
様々な種類の若いユーカリの葉は、日本に生育する蝶の幼虫でも食べてしまいます。
また、日本でもユーカリ茶が販売されています。
上手く利用することで、ユーカリの長所が活かされている例です。
香りや精油の使用例
ユーカリの香りや抽出される精油は、様々な用途で使用されています。
ここでは、主な用途を紹介します。
※一般的に、ハーブ全般について、身体に触れる用途や食用に使用する際は、事前に専門家や医師に相談するなど、注意してください
ドライハーブ
ユーカリの葉枝を乾かして、ドライハーブとして利用されることもあります。
厚みのある葉をもつユーカリは、乾いても形が残りやすく、スワッグやリースなどの作品づくりにも使われています。
サッシェにしたり、中にはバスハーブとして使われることもあるようです。
※サッシェとは、布袋に、乾燥させた花やハーブなどを入れたフレグランスアイテムです。
アロマオイル
ユーカリ精油は、アロマオイル(またはエッセンシャルオイル)として広く流通しています。
香りを楽しんだり、アロマテラピー(アロマセラピー)やリラックス用、集中力を高めたい時にも利用されています。
ハーブウォーター
ハーブウォーターとは、ハーブの蒸留により得られる水溶液です。
アロマオイル程に香りが強くないので、ハーブウォーターはスッキリとした香りです。
ハーブウォーターは、化粧水や入浴剤、ルームスプレーなどに利用されています。
抗菌・消臭スプレー
抗菌・消臭用として、ユーカリの精油を混ぜたスプレーが販売されています。
ユーカリをメインにしたスプレーもあります。
石鹸
ユーカリの精油を使用した石鹸も販売されています。
中には、薬用品として製品開発されているものもあります。
サウナ用の芳香液やヴィヒタ
ロウリュ・アウフグース用の芳香液も販売されています。
また、ヴィヒタは、通常は白樺の枝葉を束ねたものですが、ユーカリの枝葉を束ねたものも使用されています。
日本でも、ユーカリヴィヒタを活用しているサウナがあるようで、興味がある方は、是非、調べてみてください。
精油として有名なユーカリの例
精油として日本で有名なユーカリ種類
- ユーカリ・グロボラス
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香水やエッセンシャルオイルとして代表的なユーカリです。
ユーカリの主成分である「シオネール」の含有率が高く、爽やかなシャープな香りを持ちます。グロブルスには種類があり、ユーカリ・マイデニー(メイデンガム) などの亜種が存在します。
- ユーカリ・ラディア―タ
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明るい青緑色の細長い葉をもち、白い沢山の花を咲かせるユーカリです。
シネオールに加え、ペパーミントに似た香りをもつフェランドレンという成分を含み、グロボロスの強い香りに比べ、甘く穏やかな香りです。 - ユーカリ・シトリオドラ(レモンユーカリ)
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レモンに似た香りをもつユーカリです。
精油はシトロネラールの含有量が高く、柑橘系に似たシトラス系の香りが特徴です。
精油として利用される他のユーカリ種類
- ユーカリ・カマルドレンシス
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ユーカリ・カマルドレンシスは、別名「リバーレッドガム」とも呼ばれます。
鮮やかな赤い木材としての用途や、コアラの食用として有名なユーカリです。エッセンシャルオイルとしても香料や薬用などで利用されています。
シネオールを多く含み、葉枝からは爽やかな香りがあります。 - ユーカリ・ピペリータ
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「ピペリータ」は、香りがペパーミント(ピペリータ)の精油の香りに似ていることから名付けられました。
シェーピングソープや、胃腸薬などの薬用として利用されることがあります。
- ユーカリ・ポリブラクテア
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エッセンシャルオイルで代表的なユーカリです。
オーストラリアで収穫されている最も人気のあるユーカリの一つともいわれています。
シネオールを多く含み、アロマ用や石鹸、薬用などに広く利用されています。
香り豊かなユーカリの種類
精油としては有名でなくても、比較的、香りが豊かなユーカリは多数あります。
- ユーカリ銀世界
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フラワーアレンジメントや、ガーデニング用としても人気の高いユーカリです。
香りもあり、成長も早いので、ハーブ用や装飾用を兼ねて、育てることもおすすめです。
- ユーカリ ニテンス
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一般的には精油ではなく、樹高が高くて木材用として有名です。
甘い香りがあり、その香りが強いです。
樹高が高くなる分、育つのも早いため、葉枝を収穫しやすく、おすすめのユーカリです。
別名、シャイニング・ガム(輝くユーカリ)と呼ばれ、白みのある葉や幹をもちます。
- ユーカリ・ビミナリス
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「マナ・ガム」や「シュガー・ガム」と呼ばれ、甘い樹液を持つことが特徴的なユーカリです。
葉枝からも甘みのある香りがあります。
十字対生の葉も特徴的です
若木になれば、丈夫で、成長も早いです。
- ユーカリ・マカルトゥ
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フルーティーな香りのエッセンシャルオイルが抽出され、アロマ用等に使われています。
葉や樹皮からは「酢酸ゲラニル」が多く抽出され、それが通常のユーカリとは異なる香りの精油になる理由とされています。
リラックス効果
ユーカリは豊かな香りを持つハーブ木です。
部屋に飾るだけでも爽やかな香りが部屋中に広がります。
爽やかな香りには、心を安定させてくれる効果や集中力を高める効果があるとされ、アロマオイルとして広く使われています。
他にも様々なユーカリがあり、香りも様々です。
ユーカリは多数の種類が存在しますので、自分に合ったユーカリを見つけることができると思います。
抗菌作用や薬用効果
- 【抗菌作用】
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様々なユーカリの精油には抗菌作用があり、様々な病原菌に対して有効であることが実証されています。
衛生面の管理や感染症予防に有効なことから、ユーカリの精油を使った抗菌剤が作られています。 - 【風邪や咳を鎮める効果】
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強い抗菌作用は、消炎効果、抗ウイリスにも効果的で、咳や鼻づまり、痰などを減らす効果があるとされています。
ユーカリの成分がうがい薬、歯磨き粉、吸入スプレー、のど飴などにも広く使われています。 - 【ダニやノミ、ハエなどを寄せ付けない効果】
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ユーカリ畑では、あまり虫が寄り付きません。
ユーカリの香りには虫避けの効果があるようです。
さらに抗菌作用がありますので、ダニやノミ、ハエ除けとしても効果的とされています。
実際に、ユーカリの精油の成分は、虫除けの薬に使用されています。 - 【耐性を高め健康を維持する効果】
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ロブスタやグロブルス等の一部のユーカリは、お茶として利用されることがあります。
ハーブティーとして販売されているユーカリ茶には、抗ウイルス性や解熱効果などがあるとされています。
ただし、一度に大量に摂取せず、決められた分量を守って摂取することが大切です。
※ユーカリの種類によって効果の大小があります
参考:ユーカリの活用場面
ユーカリの活用方法については、以下に参考情報を掲載しています。
まとめ
ユーカリの精油には精神的によい効果があり、さらに、お部屋の空気のリフレッシュや感染症の予防にも効果的であることがわかりました。
ユーカリの生花やアロマオイル、苗木は身近に販売されていますので、気軽にユーカリを部屋に飾ったり、アロマセラピーにも使うことができます。
ただし、薬用として素人が摂取することは、危険ですので注意してください。
参考資料
- Eucalyptus – Wikipedia, https://en.wikipedia.org/wiki/Eucalyptus (2019/06)
- History of Eucalyptus Oil, Peter S. Abbott, http://www.eucalyptusoil.com/schools-info?id=39:history-of-eucalyptus-oil&catid=6 (2019/06)
- Antimicrobial activities of eucalyptus leaf extracts and flavonoids from Eucalyptus maculata,
T Takahashi, R Kokubo- Letters in applied …, 2004 – Wiley Online Library - Chemical composition and antimicrobial properties of essential oils of three Australian Eucalyptus species, M Gilles, J Zhao, M An, S Agboola – Food Chemistry, 2010 – Elsevier
- Antibacterial effects of Eucalyptus globulus leaf extract on pathogenic bacteria isolated from specimens of patients with respiratory tract disorders, MH Salari, G Amine, MH Shirazi… – Clinical Microbiology …, 2006 – Wiley Online Library
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- Australian Government Department of Agriculture, Australian forest profiles Eucalyptus
https://www.agriculture.gov.au/sites/default/files/abares/forestsaustralia/publishingimages/forest%20profiles%202019/eucalypt/AusForProf_2019_Eucalypt_v.1.0.0.pdf ↩︎