一般的な樹木や花木の種まき方法と、発芽促進の方法をご紹介します。
種子とは、植物の赤ちゃんですので、慎重に対応する必要があります。
一方で、初心者であっても手順さえ踏めば、簡単に発芽させることができる種子も多いので、身構える必要はありません。
植物によっては種子から育てることが望ましい種類や、種子から育てることで育てた環境に順応して丈夫になることもあります。
何よりも、種子から育てるのは大きな魅力があります。
ここで紹介する方法は、一般家庭で気軽にできる方法を試行したものになり、最も良い方法ではない場合がありますので、あらかじめご了承ください。
1つの方法として参考にしていただければ幸いです。
種子の入手

種子の入手は最も重要です。
多くのケースでは、新鮮な種子ほど発芽しやすいです。
また、適切に保管されている種子であれば、発芽率が維持されています。
そのため、安心できる種子を入手することが重要です。
ショップから購入する場合には、発芽率や種子の発芽方法について事前に確認することが重要です。
しかしながら、種子の発芽有無は、一粒一粒によって異なり、信頼できる店舗から購入しても発芽しないケースがあります。
そもそも、発芽率が低い種類もあります。
どうしても欲しい種子は、複数の店舗から購入したり、数十粒を用意して時期をずらして種まきをするのも一つの方法です。
種子の保管方法

種を蒔くまで、数週間以上の期間がある場合には、種子の発芽能力を温存できるように保管します。
発芽能力を温存するには、「低温」、「低湿度」、「遮光」の環境で保管します。
通常は、冷蔵庫などの5度程度が保てる冷暗室で保管することが考えられます。
保管場所では種子は乾燥した状態を維持できるように、乾燥剤等で低湿度の環境にすることが望ましいです。
なお、種まき時期や環境は、種類によって望ましい温度、事前処理方法が異なりますので、各種類の情報を確認ください。
望ましくない時期や環境で種を蒔くと、発芽するまでに時間がかかり、土の状態が悪くなることや、カビが生えること等により、発芽能力が無くなることがあるので注意ください。
種まきの容器

①種まき容器、②鉢底石または鉢底ネット、③受け皿を用意します。
植え替えることを前提に、小さな容器へ種まきをするのがおすすめです。
最初に種まきをする容器は、清潔であり、鉢穴があり、適切に水が排出される容器を選んでください。
通常は、育苗箱、ポリポット(2~3号ほど)、連結ポットなどを使います。
ポリポットは安価で、発芽した苗だけを取り出しやすく、使い勝手もよいのでおすすめです。
使い回しの容器を使う場合には、熱湯などで消毒して使ってください。
また、種まき容器が深いと、入れる土の量が多くなり、水の乾きが遅くなることで、根腐れを起こすことがありますので注意してください。
なお、種まき容器を収容できる受け皿(1/3程度の高さ)があることが望ましいです。
腰水状態にして、常に種を乾かさないようにすることができます。
※腰水状態にするときも、定期的に水は交換してください。
鉢穴から土の流出を防ぐため、鉢底石または鉢底ネットをご用意ください。
また、小型のビニールハウスを使うのもおすすめです。
高い湿度が保たれ、種子の乾燥を防ぐことができます。
注意点としては、発芽後の小さいときは急激な環境変化に特に弱いため、ビニールハウスから出して別の環境へ移動して育てるとき、温度や湿度に急激に変わらないようにすることが重要です。
種まきの用土

種まき用土については、下記が考えられます。
①市販の種まき用土
②赤玉土(小粒)とピートモスの等量配分土
③赤玉土(小粒)とバーミキュライト 7:3程度の混合土
④赤玉土と腐葉土、ピートモス、川砂などの混合土
⑤赤玉土のみ
市販の種まき用土を利用する場合は、安価なものを選ばず、用土の販売店にも相談するとよいでしょう。
赤玉土を使用する場合は、土ふるい等を使い、微小な粉は取り除いてください。
※植物には弱酸性やアルカリ性(中性)を好む植物もあり、酸度の調整を行う場合がありますが、多くの場合はこだわる必要はありません
普段園芸しない人にとっては多くの土を購入するのは手間になり、大半が余ってしまいますので、デリケートな種子でなければ、⑤の赤玉土だけでも良いと思います。
ただし、1年目の成長速度が遅く、植え替えまでに1年近くかかる植物については、長期間、水はけがよい状態を維持できるような用土を選ぶ必要があります。
使い回しの土を使い場合には、土の消毒をすることが望ましいです。
黒のポリ袋に入れて日光の元に高温消毒さらすか、熱湯を土へかけて消毒してください。
酸性度が強くなった土には石炭を少々加えるなど、酸性度の調整を行う場合もあります。
肥料は通常、入れないでください。幼い苗は肥料負けして枯れてしまうことがあります。
補足:冷湿環境での保管について
「冷湿環境での保管」とは、温度が低く湿度の高い冷暗環境で種子を保管することで、乾燥して休眠状態にある種子を起こし、発芽率を高める方法になります。
冷湿環境での保管は必要としない種子もありますが、ユーカリや針葉樹などの樹木の種子にとっては効果的です。
低湿環境での保管が必要かどうか不明な場合には、販売元へ確認するとよいでしょう。
冷湿環境に関しては、こちらの記事をご覧ください。
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