花木の種まきガイド – 種蒔きから植え替え編

樹木や花木の種まき方法や発芽促進の方法をご紹介します。
本ページは準備編からの続きになり、種子の事前処理や種まき方法を紹介します。

ここで紹介する方法は、一般家庭で気軽にできる方法を試行したものになり、最も良い方法ではない場合がありますので、あらかじめご了承ください。
1つの方法として参考にしていただければ幸いです。

種まき直前の処理

◇水に浸ける場合
種まき直前に6~24時間ほど水に浸けることで、乾いた種子に水を吸収させる方法があります。
注意点は、水に浸けすぎるのはよくないということです。
種子も呼吸していますので、水に浸けすぎると発芽不良を起こします。
水に浸ける時間が不明な場合には、24時間も浸けるのは良くないので、6~12時間以内に抑えた方がよいでしょう。
微細な種子の場合には、通常、水に浸ける必要はありません。

また、発芽活力液のメネデールを100~200倍に希釈した水に浸けると、発芽率を上げることができる場合があります。
メネデールは肥料ではないので、発芽を阻害することはないと考えられますので、不安があれば活用してみるのも手です。

◇熱湯に浸ける場合
多くのアカシアなどの一部の種子は、熱湯に浸けないと発芽しにくい場合があります。
熱湯の代わりに硫酸に浸す方法や、やすりなどで種子に傷をつける方法もあります。
種子を傷つける場合には、胚(芽や根のもとになる場所)は絶対に傷つけないようにしてください。

◇冷湿保管する場合
長い間保管されている種子などは、温度が低く湿度の高い冷暗環境で種子を保管することで、乾燥して休眠状態にある種子を起こし、発芽率を高める方法があります。
冷湿環境での保管は必要としない種子もありますが、
ユーカリや針葉樹などの樹木の種子にとっては効果的です。
低湿環境での保管が必要かどうか不明な場合には、販売元へ確認するとよいでしょう。
冷湿環境に関しては、こちらの記事をご覧ください。

◇カビが生えやすい種子や、発芽までに数か月以上を要する中大型種子の場合
種子によっては、カビが生えてしまい、発芽しない場合がありますので、カビ対策をすることでカビを防ぎ、発芽率を上げられるケースがあります。
観葉植物やヤシ、大きめの種子はカビ対策をすることが望ましいと考えます。
カビ対策は、あらかじめベンレートやカビ取り洗浄液を薄めた溶液に種子を浸したり、溶液を染み込ませたキッチンペーパーなどで種を拭く方法があります。

種まき

あらかじめ、種まき容器の用土を湿らせます。
種まき用土の深さは3~5cm程度にします。
深いと風通しも悪くなり、根腐れを起こします。

その上に種を蒔いていきます。
細かい種子の場合には蒔きずらいので、半分に折った紙などへ乗せ、蒔いていくと楽です。

種まき前に水に浸けている場合には、一度キッチンペーパーなどの不織布でこし取ります。
ただし、細かい種子の場合には不織布から種子を取るのは骨が折れます。
手でつまむなど、必要以上に圧力を加えることは望ましくありません。
そのため、霧吹きを使い、種まき用土へ種を流れ落とすと、簡単に種まきができます。

覆土

覆土の量は、種子の大きさによって異なります。
微細な種子の場合には0.3~1cm程度にします。
小型の種子でも1cm程度が目安です。
覆土が厚いと、酸素が不足して発芽不良を起こします。
※好光性種子(発芽に光が必要な種子)の場合は覆土は行いません

水やりと置き場所

種まき後の環境では、多湿状態を維持する必要があります。
水やりは腰水からの水やりが一般的です。
種まき容器の1/3程度の高さがある受け皿に水を入れて水分を吸わせます。
または霧吹きを使って水をあげましょう。
水を切らすことは厳禁ですので、土が水分を保つ状態を必ず維持しましょう。

特に小さな種子の場合には、ジョウロなどで水をかけると種が奥に入ってしまう可能性がありますので、丁寧に水をやることが大事です。

また、カビが生えやすい種子の場合には、ベンレート等の殺菌剤を薄めた液体を定期的にスプレーすることが望ましいです。

高湿状態を維持するため、最初に水を供給したあとに、透明な袋に入れ、水分を外に逃がさず、高温多湿を維持する方法もあります。
種まき容器の上にサランラップやプラスチックカップをかぶせる方法もあります。
小さめのビニールハウスも安価に販売されており、活用するのもおすすめです。
※発芽後の苗が小さいときは環境変化に弱いため、発芽した後には直ぐに外さず(別の場所へ移さず)、少しずつ外気へ適応させていきます。

種まき容器の置き場所は、強い直射日光が当たらず、雨風を受けない多湿環境で管理します。
一部の植物を除き、とても暑い場所は避けてください。
芽が出ても暑さに負けてしまうことがあります。
また、発芽した直後および数か月以内には、ナメクジや青虫などの害虫によって、芽が食べられてしまうことが頻繁にあります。害虫が侵入しないように注意してください。

発芽した後にも、苗が小さいときには、温度・湿度などの急な環境変化は好ましくありません。
置き場所を変更するときは注意してください。

植え替え

発芽後にもしばらく水やりを続け、2週間から1か月ほど様子を見て、本葉が4枚以上あって、丈夫そうであれば、植え替えを行います。
植え替えは枯らしてしまう危険が多い場面ですので、植え替えをせず、元の用土へ薄めの液体肥料をかけて、可能な範囲で大きく育てる方法もあります。

苗が小さいときには、温度・湿度などの急な環境変化は望ましくありません。
植え替えをした直後に、置き場所を大きく変更すると、枯らせてしまう危険性が高まりますので、注意してください。

また、コガネムシの幼虫等、根を切る害虫には注意してください。
私たちも、ある程度育てたのに、根を切られて瞬く間に枯れてしまうことを経験しました。
害虫の殺虫剤を使用することや、害虫が育つ時期には植え替えをする方法があります。