木材や製紙用に利用されるユーカリ一覧 – 取り扱い植物紹介

ユーカリは世界中で木材や製紙用として植樹され、利用されています。
多くの人にとって、ユーカリのイメージは「コアラが食べる木」や「花束で利用する木」、「園芸用の庭木」ですが、様々な場面で木材として利用されています。

当店では、様々なユーカリの種子・苗木を扱っており、時々、木材等の植樹用として注文いただくケースがあります。
木材用・製紙用のほか、バイオマス発電等などの様々な観点で、木材への注目度が高まっているのかもしれません。

ユーカリは成長速度がとても早く、大木になる種類があります。
種子から育てても2~3年程で、軽く背丈を超えてしまう種類もあります。
日本でも数十mを超える大木になったユーカリを見かけることがあります。

ここでは、当店の扱っている種類の中で、木材や製紙用途として利用できる可能性がある種類を紹介します。

目次

木材・製紙用として利用されるユーカリ

※順番は、学名の昇順です。

ユーカリ スポットガム (コリンビア・マキュラータ)

スポットガム(斑点ユーカリ)と呼ばれ、斑点があるような樹皮をもちます。
数十m以上になる、大型のユーカリであり、白から薄茶色の木材の色をもちます。

木材として、埠頭や橋の建設、鉄道の枕木から、建築用の床材、内張り、外装材などに利用されることがあるようです。

育つ速度もやや早く、様々な土壌にも耐え、丈夫な種類です。
長雨でも萎れる苗を見たことはありません。

ユーカリ・アップルボックス

アップルボックスは、アップル型の葉をもつことから、園芸用として有名です。

樹高は最大25~30m程で、大型のユーカリに比べると樹高は低いですが、育つ速度は早いユーカリです。

一方で、木材として柔らかく、建築用材としては不向きとされています。
そのため、パルプ材としては利用されるケースが有るようです。

丈夫な種類でもあり、粘土質の土壌でもよく育ち、長雨でも弱る様子はありません。

ユーカリ・カマルドレンシス

木材として有名な種類であり、世界中で広く植えられているユーカリの一つです。

別名「リバーレッドガム」と呼ばれ、鮮やかな赤い木材をもつことから名付けられました。

木材は密度が高くて硬く、重建築や家具などの様々な用途に利用されているようです。

様々な土壌でも育てやすい、丈夫な木であり、育つ速度も早いのが特徴です。
「リバーレッド」と呼ばれ、生育地では季節的に浸水する場所で見られることから、日本の長雨にも適応しやすいと感じています。

ユーカリ・クロエジアナ

明るい緑色の葉と、白灰色の樹皮をもつ大型のユーカリです。

ブラウン色の木材は、耐久性があり、防潮にも優れているとされ、建設用や枕木などに利用されています。
アフリカなどのプランテーションに植樹されています。

成長は早い方で、比較的丈夫であり、長雨でも弱る様子はありません。

ユーカリ・コルヌータ

長い角のような蕾をもち、栗のトゲトゲのような黄色の花を咲かせる中型のユーカリです。

木材は、世界でも非常に硬くて強い木材の一つとされ、車輪のスポークやシャフトとして使用されました。

比較的丈夫で育てやすいと思いますが、オーストラリアの中でも、西オーストラリアに生育するユーカリであるため、長雨には注意が必要かもしれません。
ある程度育つと、耐性も付く可能性はあります。

ユーカリ・キペロカルパ

槍状の大きめの葉と、滑らかな樹皮を持つ大型のユーカリです。

樹高は70m近くになるとされ、「ローズガム」に匹敵します。

「マウンテン・グレイ・ガム」とも呼ばれ、木材は淡いグレーです。
耐久性があり、建物や、橋などのインフラ建設に利用されることがあるそうです。

成長が早いユーカリの中でも、成長速度も早く、丈夫な印象があります。
ただし、若木のときは、若干ですが、長雨に弱いことがあるので、注意が必要です。

レインボーユーカリ

樹皮がカラフルな色合いになることから、園芸用の木としても有名なユーカリです。

また、オーストラリア原産でなく、東南アジアの熱帯雨林に生息する種類であることも特徴の一つです。

主にパルプ用としてフィリピンなどに広く植樹されています。

種子はユーカリの中でも微細であり、種子からは、とても大きくなる木とは想像できません。
発芽して、しばらくすると、成長が旺盛になり、成長速度も早まります。
熱帯雨林に生育することもあり、長雨にも弱らないと感じています。

注意点としては、若干のマイナス温度に耐えられますが、耐寒性がやや弱いことがあげられます。

ユーカリ・グロブルス

エッセンシャルオイルとして有名な種類です。

加えて木材としても有名なユーカリであり、世界中で広く植えられている種類の一つです。
硬くて丈夫であり、かつ加工しやすい木材として、建築用の床材や家具など、一般建築用に利用されているようです。
日本の製紙会社なども、製紙用の種類として利用することがありました。

成長が早いユーカリの中でも、特に早い分類に入ると思います。
若木のときは、長雨に若干弱いことがあります。
ただし、大きくなるにつれて耐性も上がるようで、長雨で水が少し溜まりやすい場所でも、すくすく育っています。

ユーカリ・グランディス

別名「ローズガム」として、木材やパルプ用としても有名な種類であり、世界中で広く植えられている種類の一つであり、数十m以上になる、大型のユーカリです。

ローズガムという名前の通り、赤茶色の木材になり、一般建築用から、高級家具にも利用されています。
日本の製紙会社や商社などが製紙用として植樹用の種類として利用することがありました。

こちらも、成長が早いユーカリの中でも、特に早い分類に入ると思います。
かつ丈夫であり、様々な土壌で育ち、若干の乾燥にも耐える印象です。
少なくとも当方で育てている苗では、長雨で弱る様子を見たことはありません。

ユーカリ・イエローボックス(ユーカリ・メリオドラ)

主に蜂蜜生産用や庭園や街路樹の樹木として利用されているユーカリです。

硬くて強く耐久性のある、淡い赤色から黄色の木材となり、重土木の構造物、柱、鉄道の枕木、フェンス等に利用されるそうです。

育つ速度はやや早い方で、長雨にも比較的強く、様々な土壌で育つ丈夫さも備えています。
葉色も美しく、観賞用を兼ねて植えることが出来ます。

ユーカリ・ニテンス

別名「シャイニングガム」と呼ばれ、光沢のある葉枝や樹皮をもち、樹高は最大70~80mにもなる大型のユーカリです。
床材や建具などの建築用や家具、パルプ用にも利用されることがあるそうです。
日本の製紙会社などが製紙用として利用することがありました。

育つ速度はやや早い方で、様々な土壌で育つ丈夫さも備えています。
長雨にも強く、長雨で水が溜まりやすい土壌でも成長していますが、一方で、長雨と前後の天候等によって弱ることがあるようです。

ユーカリ・ポプルネア

「ビンブル・ボックス」とも呼ばれ、蜂蜜生産用や園芸用の木として利用されています。
日本の一般的な「ユーカリ・ポポラス」とは別の種類です。

木材は硬くて耐久性があることから、フェンスの支柱、木琴などの楽器、家具にも利用されているそうです。
一方で、課題として、加工の難しさや、虫の被害が挙げられています。

また、耐寒性がやや弱く、マイナス温度に耐えることが難しい可能性があります。

ユーカリ・ロブスタ

「コアラの食する木」や「お茶のユーカリ」として有名なユーカリです。

アメリカや中国、南米などの世界中で植樹されています。
用途は、薪や木炭用、建築用、パルプ材として利用されているそうです。

育つのが早いユーカリの中でも、育つ速度は早い方です。
様々な土壌でも育てやすい、丈夫な木です。
加えて、長雨にも弱る様子は無く、水が溜まりやすい場所でも育ち、若干の乾燥にも耐えることが出来ます。

ユーカリ・ルビダ

別名「キャンドル・バーグ(蝋燭の樹皮)」とも呼ばれ、樹皮は「炎が灯った蝋燭が溶けている様子」にも見えることから名付けられました。

木材は淡い赤色になり、基礎構築に使用されているそうです。

比較的丈夫な種類です。
育つ速度は、遅くはないものの、普通という印象です。

ユーカリ・サリグナ

木材として有名なユーカリの一種類です。

淡い赤色の木材になり、重くて硬いことから、建築用や羽目板、造船に使用されるほか、建築用の床材や家具として利用されることがあるそうです。
日本の製紙会社や商社なども、製紙用の種類として利用することがありました。

育つ速度も早いのに加え、とても丈夫な種類という印象があります。
長雨でも弱る様子がありません。
葉の色合いも美しく、観賞用にもなると思います。

ユーカリ・テレチコルニス

反りのある長場細い葉を持つ、大型のユーカリです。

「フォレスト・レッドガム」とも呼ばれ、木材は赤みがあります。
硬くて耐久性があることから、建築用やインフラ建設などで用いられます。
精油としても用いられ、熱帯の蚊に対する天然忌避剤になるという研究もあります。

育つ速度も早く、丈夫なので、育てやすい印象です。
今のところ、長雨でも弱る様子はありません。
逆に水をよく吸うので、鉢で管理しているときは、水切れにならないように注意が必要です。

ユーカリ以外の種類

銀合歓(ギンネム)

成長が早い植物であり、主に温かい地域において植樹されています。
パルプ材や飼料、バイオマス生産用にも利用されることがあるそうです。
生命力がとても強く、成長速度が早く、かつ様々な用途で利用できることから、「ミラクルツリー(奇跡の木)」として呼ばれたこともある木です。
耐寒性が弱いのが注意点ですが、生命力が強いので、少しのマイナス温度で耐えられる場合があります。
一方で、生命力が高く、侵略種になり得ることから、特に温かい地域で植樹する際には注意が必要な木です。

まとめ

ここでは、木材や製紙用で利用される、様々なユーカリを紹介しました。

他にも成長が早いユーカリは多く、ここで紹介しきれなかった種類についても、木材として利用されている種類があります。

また、木材用途として利用する場合には、早く生育することや、木材の品質面が重要になると考えられ、植樹する環境や土壌に適した種類を選ぶ必要があります。
更に、厳密には、ユーカリの各種類においても、更に細かい亜種・分類があることや、何代にもわたって生育(または栽培)した環境が異なることで、耐寒性や性質にも違いが生じるようです。

新たな場所で栽培するときには、様々な種類を確認することで、その地に適したユーカリが見つかると考えられます。

参照情報

  • BBS Timbers Ltd
    https://bbstimbers.co.nz
  • EXOTIC BUILD WITH BEST
  • https://exoticwoodzone.com
  • Evaluating and processing fibre resources for pulping
    https://www.fao.org/3/q7885e/q7885e02.htm
  • FORECO – Products
    https://www.foreco.nl/en/products
  • The Wood Database
    https://www.wood-database.com
  • Wood Solutions
    https://www.woodsolutions.com.au
  • WOODi WiLD
    https://woodiwild.org
  • 森本泰次, ユーカリの特性とパルプ用造林, 1993
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jtappij1955/47/12/47_12_1434/_pdf
  • 小島鋭士, パルプ材としてのユーカリとアカシア, 2001
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jtappij1955/55/7/55_7_915/_pdf
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