ユーカリの選び方 用途や見た目

ユーカリは約700種類以上あるとされます。
そのような様々なユーカリの中から、一体どれを選べばよいか、迷われる方も多いと思います。
ここでは、ユーカリの種類を選ぶ上で、特徴や用途別に、おすすめのユーカリを紹介します。

目次

ハーブとして香りをもつユーカリを選ぶ

ユーカリは豊かな香りをもつ種類が多いので、香りで選ぶのもおすすめです。
葉枝を収穫して花瓶に生花として飾ったり、葉枝を揉むと、清涼感をもつ香りがあります。
強い香りをもつユーカリでも、空間を充満させるほどのキツイ香りではないので、安心ください。
また、シャッキとするような清涼感のある香りから、柑橘系に似た香りや、甘い香りなど、種類によっても香りが異なります。

ユーカリ グロブルス
ユーカリのエッセンシャルオイルとしては代表格の種類です。
清涼感のある香りをもち、香料や薬用、お茶としても使用されています。
若い葉は白みがかった、美しい明るい青緑色の葉です。
、グロブルスには種類があり、ユーカリ・マイデニー(メイデンガム) などの亜種が存在します。

ユーカリ・ラディアータ
ユーカリのエッセンシャルオイルとしては、グロブルスと並び、精油の代表格の種類です。
精油にはシネオールに加え、ペパーミントに似た香りをもつフェランドレンという成分を含み、爽やかでマイルドな香りとされます。
明るい青緑色の細長い葉をもち、白い沢山の花を咲かせます。

レモンユーカリ
エッセンシャルオイルで有名であり、園芸の木としても人気のユーカリです。
精油はシトロネラールの含有量が高く、柑橘系に似たシトラス系の香りが特徴です。

ユーカリ・ニテンス
精油としては有名ではないですが、甘い香りがあり、その香りが強く、育つのも早いため、おすすめのユーカリです。
別名、シャイニング・ガム(輝くユーカリ)と呼ばれ、白みのある葉や幹をもちます。

他にも、香りが魅力的なユーカリは沢山あります。
一方で、中には香りがほとんど感じられない種類もあるので、選ぶときは注意です。

庭木にするユーカリを選ぶ

ユーカリは育つのが早く、樹高が数十m以上になる種類も多いです。
大木になるユーカリを地植えして、剪定の管理を怠ると、あっという間に育つ可能性があります。
私たちも農園で地植えして管理を1年怠っていると、実生から4~5年の木が少なくとも5m以上になってしまうことがありました。
大きく育つと、太くなった幹を切るのも大変になりますし、倒れたときに近隣に影響を与える可能性があります。

そのような場面を避けるには、庭木として育てるユーカリを選ぶ際には、樹高が高くならない種類を選ぶ方法があります。
管理を怠ったからといって、樹高が大きくなりすぎることはありません。
また、樹高が高くならない種類は、育つのも、その分ゆっくりな場合があるので、管理しやすいと思います。
ゆっくりといっても、1年に数十cmは育つことが期待でき、立派な庭木になるまでに相当時間がかかることは少ないと思います。
(※樹高が低い種類も、育つのが早い場合があります。)

補足

大木になる種類にも、庭木としては沢山のメリットはあります。
沢山の葉枝を収穫でき、種類によっては花を早く見られる可能性があるので、蕾や実をドライ素材にできます。
定期的な管理ができる場合には、早く育つ種類を選ぶのもおすすめです

ユーカリ・ベイビーブルー
小さな丸い葉をもつ、樹高が低めのユーカリです。
ユーカリ・銀世界の園芸種になり、銀色帯びた葉色は似ていますが、成長しても葉が大きくなることはありません。

ユーカリ・ムーンラグーン
白銀色を帯びた、可愛らしい小葉が美しい、小型のユーカリです。
オーストラリア西部に生育する「ユーカリ・ラテンス」の園芸種であり、観賞用として庭園に植えられたり、花束の素材として使われています。

ユーカリ・モーレイ・ナナ
小さなヤナギを連想させるような小型のユーカリです
光沢のある濃い緑色の長葉と、赤い葉枝をもち、白い花を咲かせます。
「ナナ」はラテン語で「小人」を意味し、小~中型に成長する「ユーカリ・モーレイ」の矮小種になります。

他にも、樹高が数メートル以内のユーカリは沢山あります。
庭木のユーカリを選ぶ際には、樹高にも注目してみてください。

早く葉枝が収穫できる、成長が早いユーカリを選ぶ

ユーカリには成長が早い種類が多く、種子や小さな苗から育てても、すくすく育ち、立派なシンボルツリーになり得ます。
成長が早いユーカリであれば、沢山の葉枝を収穫することができ、ハーブにしたり、花瓶に活けたり、フラワーアレンジメントやスワッグ等の作品づくりにも活用することができます。

また、種類によって条件が良ければ、花も早く咲かせてくれるので、蕾や実をドライ素材にすることができます。
ユーカリは蕾や実の形状や色合いも様々です。

蕾や実のドライ素材は入手しずらいため、作品作りをされる方にとっては、オリジナリティある作品作りに活かせると思います。
蕾や実の形状やサイズ、色合いにも注目してみるのもおすすめです。

ユーカリ・カマルドレンシス
リバーレッドガムとも呼ばれ、湿地などに生育し、木材は色鮮やかな赤い色です。
粘土質の土壌でも育ち、成長が早く丈夫な種類です。
若枝は赤みの帯び、葉は寒い時期には紅葉します。

ユーカリ・ロブスタ
コアラの木やお茶として有名なユーカリです。
鉢植えでも、種子から3年目で見事に花を咲かせました。
地植えした木は大木になってしまいました。
特に紅葉の季節には、若い葉は赤みを帯びて美しい色合いです。
クリーム色の蕾はドライ素材にも利用できそうです。

ユーカリ・アップルボックス
アップル型またはハート型の葉のユーカリです。
数十cmだったものが地植えすると1年で2mを超えてしまいました。

ユーカリ ローズガム
成長が早く、木材として有名なユーカリです。
鉢植えでも、種子から3年目で見事に花を咲かせました。
白い色合いの蕾はドライ素材として利用できそうです。

他にも成長が早い種類は沢山あります。
樹高の高さに注目してみると、成長が早いユーカリの手がかりになると思います。

早く育ち、丈夫なユーカリは以下に参考情報を掲載しております。

ドライ素材にできるユーカリで選ぶ

苗木や種子をお求めになる方々には、ドライ素材にすることを目的とされた方もいらっしゃいます。
ユーカリは、ドライ素材として、ドライフラワーアレンジメントやハンドメイド作品などで利用されています。
ドライ素材にしても、形がくずれることなく、色合いも残りやすい種類が数多くあります。

ユーカリ・銀世界
銀色帯びた美しい丸い葉をもつユーカリであり、花束の素材として人気です。
葉も厚いため、スワッグ等のハンドメイド品で人気があります。
実や蕾が銀色の場合もあります。

ユーカリ・グニー
可愛い丸い小葉が特徴的なユーカリです。
小葉ではありますが、葉も厚いので、ドライ素材にしても形が残ります。
ホームセンター等で、苗木をよく見かけるのですが、時々、本当にグニーかどうか少し怪しい場合がありますので注意ください。

ユーカリ・プレウロカルパ

白銀色を帯びた厚みのある、大きな葉をもつユーカリです。
銀色の実や葉枝をもち、ドライフラワー素材としても人気です。
小型のユーカリで、通常ユーカリに比べると成長はゆっくりです。

他にもドライ素材として利用できるユーカリは沢山あります。
葉が薄いユーカリは、ドライ素材にすると形が崩れやすいので、注意が必要です。
また、ユーカリは花はドライ素材に向いていないケースが多いですが、蕾や実はドライ素材にしやすく、美しい形や色合いが残ります。
ユーカリを選ぶ際、蕾や実の形や色合いにも注目するのも、おすすめです。

ユニークな葉の形で選ぶ

観賞用として、ユニークな葉の形を持つ、ユーカリを選んで見るのはいかがでしょうか。
茎が葉を貫いているような、ツキヌキ状のユーカリから、糸葉のようなユーカリまで、様々な葉の形をもつユーカリが存在します。
注意点としては、多くのユーカリは大きく成長すると、葉が長葉や卵葉になってしまうことです。
ただし、低い範囲から育つ葉は、元の葉であることも多いため、独特の葉を維持するには、小さく育てる方法があります。

植物には個体差もあるので、(挿し木苗でなく、)種子から育てた苗は個体差があって、面白いです。
一般的に丸い葉の種類でも先端が尖った葉をもつ苗があったり、同じ環境でも葉の色が少し違ったり、ツキヌキ状の種類でもツキヌキ状でない独特な葉の苗があることがあります。
亜種が混じっていた可能性もあれば、実生苗はそれぞれ個性をもつので、姿が同じでも性質は全く同一にはならないのが興味深い点です。

ツキヌキユーカリ
葉を茎が突き抜いているようなツキヌキ状の葉をもつ、ユーカリです。
銀白色を帯びた青緑色の、丸みのある葉をもちます。
日本では「ツキヌキユーカリ」といえば、写真の「ユーカリ・ペリニアナ」を指すようですが、ユーカリ・ガモフィラや、リズドンペッパーミントも、ツキヌキ状の葉を持ちます。
それぞれ、葉の形状や厚み、色合いや香りも異なります。

ユーカリ・ポポラス

シルバー色を帯びた、丸みのあるハート型の葉っぱが特徴的なユーカリです。
蕾の付いた状態は、ポポラスベリーとして、花束やリースなどの作品づくりで人気です。

ユーカリ・ビミナリス
別名でリボンガムと呼ばれます。
「マナ・ガム」や「シュガー・ガム」とも呼ばれ、枝から染み出す樹液は糖分が多く含まれる木です。
多少大きくなっても、写真のように、翼のような葉を交互に出す状態は変わりませんでした。

紅葉の色合いでユーカリを選ぶ

ムーンラグーン
銀色帯びた葉が、紅色に染まり、独特の色合いになっています。

ユーカリ・ポポラス
青みを帯びた葉に、紅色が染まり、パープル色の独特な色合いになっています。

バラディンレッドガム
紅葉した葉に対して、日光によって、葉脈が透き通ったような葉になりました。
生育度合いや、環境によって、このような葉になることがあります。

ユーカリ・ノートニ
しなやかに伸びる葉枝がオレンジ色に紅葉し、独特の曲線美になっています。

他にも紅葉が見事なユーカリはたくさんあります。
日の当たり具合や、気候によっても、色合いのバリエーションは様々になると思います。
ただし、中には、寒さに弱い種類や、葉が傷みやすい種類もありますので、注意が必要です。

樹皮の色が豊かなユーカリを選ぶ

ユーカリ・クルキス
丸いクリ型の葉をもち、赤色を帯びた白色の蕾から、クリーム色の花を咲かせるユーカリです。
「ミニリッチ」とも呼ばれる樹皮をもち、フロークが剥がれて巻き毛のコートのようになります。

ユーカリ・プルケラ
ヤナギのような細長い葉をもち、葉枝が枝垂れるユーカリです。
「ホワイトペパーミント」とも呼ばれ、滑らかな白褐色の木肌と、ペパーミントに似た香りをもつとされます。

レインボーユーカリ
多くの年数を経て様々な色合いの樹皮になります。
ユーカリとしては非常に珍しく、東南アジアの島国の熱帯雨林に生育しています。

身近なユーカリの中にも、樹皮が魅力的なユーカリは沢山存在します。
樹皮の名前から名付けられたユーカリもあり、アイアンバーク(鉄の樹皮)や、レッド・アイアンバーク(赤い鉄の樹皮)と呼ばれる種類もあります。
樹皮の変化は、年数を経て育てた人のみが知る魅力であり、年月をかけて育てる楽しみがあります。
また、ユーカリ樹皮は、フラワーアレンジメントなどの作品づくりにも使用できるので、樹皮にも注目してユーカリを選ぶのも良いかもしれません。

希少(レア)なユーカリを選ぶ

日本ではやや育てにくいユーカリ種類もあります。
夏の高湿度が苦手な種類や、耐寒性が無い種類、土壌に気をつけなければいけない種類などは、育てる難易度が高くなります。
(日本の多くの地域では育てにくくても、一部の地域では育てやすいケースもあると思います。)

育てる難易度が高いとうことは、「希少性が高い」ということで、もしかすると日本では数本しか育てられていないユーカリの木になるかもしれません。
一般的には、日本と気候が異なるオーストラリア西部のユーカリは難易度が高いとされ、花が色鮮かな種類や、蕾や葉枝が特徴的な、魅力的な種類があります。

育てる難易度は、地域や気候によって違うので、一概にできないことをご了承ください。
温度や湿度に加えて、風や土壌によっても変わってきます。
ここでは、オーストラリア西部で生育し、成長が比較的ゆっくりで、特色あるユーカリについて紹介します。

ユーカリ・ヨウンギア
ラージ・フルーツ・マリーと呼ばれ、子どもの手幅サイズの花と実になることがあります。
オーストラリアのグレート ビクトリア砂漠に生育しています。

ユーカリ・ウッドワーディー
レモンイエローの花を咲かせ、銀白色を帯びた青緑色の葉をもつ小~中型のユーカリです。
西オーストラリア州の砂質土壌の限られた地域に生育しています。

ユーカリ・トルカータ
美しい赤色またはピンク色の沢山の花を咲かせる、小型のユーカリです。
花や蕾の見た目から「コーラルガム(珊瑚のユーカリ)」という美しい別名でも呼ばれます。

他にも、明るい色の花を持つユーカリや、蕾や実が特徴的なユーカリなど、オーストラリア西部のユーカリには、魅力的な種類が多数あります。
中には難易度が高い種類もあると思いますが、育てがいのあるユーカリだと思います。

寒い地域で育てられるユーカリを選ぶ

ユーカリを地植えする場合や、鉢植えで大きく育てる場合には、寒さに弱いユーカリは、冬に枯らしてしまう場合があります。
ユーカリは寒さに弱いと思われがちですが、日本の寒さに耐えることができるユーカリは多く存在します。
寒さに強いユーカリについては、以下のページで参考情報を掲載しております。

情報は当店の育成経験や、原産地の環境、書籍やウェブ等の情報をもとにしておりますが、全て正解ではない場合があります。
 特に、育てる環境には、寒風や霜、湿度、気候の影響など、様々な要素がありますので、場所によっては気候に合わない場合や、個体差があることをご了承ください。

参考:ユーカリの魅力

ユーカリの活用方法の魅力については、以下に参考情報を掲載しております。
よろしければ、ご参考ください。

まとめ

ここでは、様々なユーカリを紹介しました。
魅力あるユーカリは沢山あるため、残念ながら紹介できなかったユーカリも沢山あります。

また、育成する地域によっては、合うユーカリと、合わないユーカリもあると思います。
一方で、ユーカリは700種類以上もあります。
様々なユーカリを育ててみると、地域や場面に合ったユーカリを見つけることができると思います。

期待していなかったユーカリの種類からも、知られていない、新たな一面を見つけることができることもあります。

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